日本こけし工芸会には、創作こけしの製造販売を本業としているプロ作家と、本業以外に創作こけしに魅せられ、制作指導を受けてこけし作りをはじめたアマチュア作家が所属しています。
 みなさんの中で創作こけしの制作に興味を持たれ、公募展に応募してみたいと思われた方に文部大臣賞(現・文部科学大臣賞)受賞経験のある作家がアドバイスいたします。

第2回
猪狩ふみ子(千葉県大網白里町在住)

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平成2年度全国近代こけし展 文部大臣奨励賞受賞作
題名:祭囃子(まつりばやし)素材:ミズキ 43センチ
制作意図:自分の子供達がお祭りの楽しさ、おそろいのはっぴを着て
       だしを引いていた時の嬉しそうな顔を思い、それをこけしに
       表現してみたかった。

Q1.いつ頃、どこで創作こけしと出合いましたか?

 A1.1963年伊豆に旅行した折、土産物店で

Q2.創作こけしのどのよなところに魅力を感じましたか?

 A2.何がと言われると困るのですが、初めて創作こけし
    を見たとき、身体がふるえるような感動を覚え、
    人形の暖かさ、作る人の心の優しさが伝わって、
    最初は、こけしを買い求め、自分の手元に沢山の
    こけしを置くようになり、自分で作ってみたいと思う
    ようになった

Q3.どのようにして制作指導を受けましたか?

 A3.1ヶ月3回こけし教室に通い、先生の作品を見本
    として、カリキュラム通りに制作、そのつど先生から
    アドバイスを受けた

Q4.実際作ってみて難しいところ、楽しいところを
   教えて下さい

 A4.自分の手の中から愛らしく、自分だけのこけしが
    出来て、只々楽しかった。難しいとか、苦しいとかは
    ずっと先の事だった

Q5.創作こけしに取り組んでの感想、
   生活の変化などありますか?

 A5.こけしを作るようになって、いろいろの意味で
    アンテナを張りめぐらすようになった。子どもの
    表情、動き、着ている物の色とその配色、寸法の
    バランス、等々・・・。例えばTVを見るときでも
    必ずメモ用紙とペンを用意するようになった

Q6.これから作ってみたい方へのアドバイスなど
   ありますか?

 A6.きれいな着るものとか、模様とか、その様なもの
    ではなく、私自身の行き方としては、こけしを
    作る時の気持ちとして、作るには手を借りるが、
    心で作るものだと思っている。優しい気持ち、
    こけしに話しかけながら。
     作っているのではなく、作らせてもらっている。
    こけしを作る事が、楽しく生きていけることだと
    思っている。
     佳い物を作ろうとか、人に認められるような
    作品を作ろうとか、その様なものではなく、自分の
    心の為にやさしく愛らしく平な気持ちで作っていれば
    自然に心の伝わる作品が出来てくると思います。