日本こけし工芸会には、創作こけしの製造販売を本業としているプロ作家と、本業以外に創作こけしに魅せられ、制作指導を受けてこけし作りをはじめたアマチュア作家が所属しています。
 みなさんの中で創作こけしの制作に興味を持たれ、公募展に応募してみたいと思われた方に文部大臣賞(現・文部科学大臣賞)受賞経験のある作家がアドバイスいたします。

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第1回 倉澤敏恵(長野県飯田市在住)
第2回 猪狩ふみ子(千葉県大網白里町在住)
第3回 小島隆(神奈川県横浜市在住)
第4回 矢作一子(東京都八王子市在住)

第5回
斎藤きよし(群馬県新里村在住)

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平成元年度全国近代こけし展 文部大臣奨励賞受賞作
題名:潮騒(しおさい)素材:ケヤキ 45センチ
制作意図:この作品は、千鳥と荒波の表現を力強く表現したいと
思い自分なりに力を入れた作品です。

Q1.いつ頃、どこで創作こけしと出合いましたか?

 A1.私は18歳頃から木に対する関心が強く、ムク材を使用しテーブル、
    イスなどの家具を製作していました。長い間創作しているうち出来
    上がった作品が多くたまってしまいその処分に困り他人に無償で
    くれたりしていました。この頃から木彫りに興味を持ちはじめ、自分
    なりに木に顔をレリーフしたりしていました。こんな時師匠である
    小林伊之介氏の工房に偶然訪れ、初めて創作こけしに出合いました。

Q2.創作こけしのどのよなところに魅力を感じましたか?

 A2.初めて見たときは、師匠のこけしは大きく、今まで見たことがない自分と
    しては初めてののこけしでした。このとき自分は創作こけしのすばらしさを
    初めて実感しました。この時点で自分は創作こけしをやってみたいと
    心に思い師匠に弟子入りを申し込みました。師匠は後継者育成のためか
    すぐ弟子入りを引き受けてくれました。

Q3.どのようにして制作指導を受けましたか?

 A3.その日の翌日から師匠の家に出かけ、師匠から木地をわけてもらい
    最初は師匠の作品の模写をしていました。作品を創作中は時のたつ
    のも忘れるほどの充実した毎日でした。作品が出来上がり目を入れた
    瞬間は最高の感動の時でした。

Q4.実際作ってみて難しいところ、楽しいところを
   教えて下さい

 A4.こけしの創作活動でノミなどは今まで使っていたので道具を研いだり、
    使ったりするのには困りませんでした。しかし今まではテーブル、イスなどを
    作っていたため角材を使っていたせいか、ロクロをした丸いものをノミで
    削るのは、コロコロところがってしまうため、最初はちょっと抵抗を感じ
    ました。絵付は油絵をやっていたことがあるので筆を使うのはほとんど
    困りませんでした。

Q5.創作こけしに取り組んでの感想、
   生活の変化などありますか?

 A5.最近は、作りたいものがたくさんあり毎日毎日が充実しております。木の
    仲間がたくさんふえ、いろいろな木の情報も入ってくるし、ほんとうに毎日
    充実しています。最近はあれもこれも作りたいなどと思っているので
    未完成な作品が工房の中でごろごろ転がっています。この作品は
    いつ完成するのやら?    

Q6.これから作ってみたい方へのアドバイスなど
   ありますか?

 A6.これから創作こけしをやりたいと思っている方にアドバイス。いろいろ
    迷わず近くに必ず木の木端(こっぱ)があるはずです。彫刻刀で人形
    の顔を彫ってみて下さい。木をいじっていれば必ず木に関心のある友達が
    寄って来ます。頑張ってください。